Tokyo Experience

夢のような夢を見ましょう

中島健人さんとBecause of 愛について本気出して考えてみた

 

bholic.hatenablog.com

 

中島健人さんのソロ曲 Because of 愛(以下BO愛)についてずっと気になっていたところ。上記ブログ様がすごく丁寧に考察していて、私もまとめたくなり日曜中BO愛の事を考え書き留めました。書きながら紐解いていった文章となりますが、しばしお付き合いくださいませ。

 

「君のせいさ」「僕は死ぬほど君を愛しているよ」とダークな局長の中で愛をひたすら唱える最新曲BO愛。

しかしながらライブ披露の際、冒頭には世界観が真逆と言える真っ白な衣装に身を包んで、ぺろぺろ飴を手に持った中島さんが映像で登場します。流れるのはもちろん彼の代表曲、CANDY ~Can U Be my BABY~(以下CANDY)。「声出さないと許さないぞ💛」と書いたフリップまでもって登場し、映像に対して観客へのレスポンスを煽る。

そこに真っ黒い衣装に身を纏い微笑を浮かべたもう一人の中島健人が現れ、「やめろ」「触るな」などと不穏なエコーがかった声が響き始める。しかし鏡の中黒い世界とこちら側の白の世界は触れ合ってしまい、CANDYを持った中島健人は白い砂になってしまう。こうして楽曲は始まります。 

ちなみに北海道以降の中島さんは銀髪でライブに登場していますが、ことBO愛に関しては黒髪で披露されていたものがとても趣深く印象的です。なぜならBO愛の世界が通常の中島健人と地続きであることが強調されていたから。
どうして、甘い甘いCANDYの世界とダークなBO愛がつながるのか。それはどちらも根本が同じ、世界中にあまねく君だけの君への愛をありったけに注ぐ歌だからだと思っています。違うのは、BO愛は「ごめんね」となぜか君に謝っていること。この世界観の違いについてと、なぜダークで特徴的なダンスを魅せる曲に関わらずC&Rを求められているのか、について答えを探るために歌詞を考察します。


まず冒頭

不確かなままで築く愛の不安は
君を傷つけてしまったのかな?
本当は誰も知らない愛の答え
確かなものにしたくて2人口づけたね

「君を傷つけてしまったのかな?」と疑問を投げ掛けているところを見るに君はもう彼のそばにいない(離れていったもしくは死んでしまった)と考えられます。
しかしながら「本当は誰も知らない愛の答え 確かなものにしたくて二人口づけたね」と続く。愛を確かなものにしたくて、というのは彼の盲信なのか愛する人との合意のもとなのかは不明ですが、口づけ(=愛)を交わしたことはあるらしい。

Because of 愛
出逢わなければ
Because of 愛
君のせいさ
Because of 愛

この、「愛」の部分を歌詞に続けて観客はコールするよう求められます。

事前に会員制のウェブサイトでレクチャーまでされている。ライブに行かなくとも楽曲を聞いたことのある方はわかると思うが、非常にタイミングが難しい。それでも回を増すごとに揃っていくところにもこう…ライブ空間の恐ろしさと美しさを兼ね備えた一体感を感じます。

ここでは「出会わなければ」「君のせいさ」というネガティブな言葉が出てきます。
君に出会ってしまった以上、僕の愛は止められないものになってしまった。君が僕の前に現れたことがいけないんだ。愛されることで君が困るのなら(少なくとも目の前から避けるか死ぬかして君は去っていると考察されるので)君の存在がいけないんだよ、とかなりヘビーな思いを君にぶつけてくる。

運命に問いたい
2人をなぜ引き寄せた?愛
出逢わなければ
こんな苦しい想いをしなかったんだMy life運命に問いたい

今度は君、ではなく僕と君を引き寄せた不確かなもの、運命に疑問と恨みを投げ掛けてきます。

 

理想は高かった僕の価値
簡単に越えた君の勝ち


ジャニーズらしい言葉遊び。価値と勝ちがかかっています。

 


全てを捨てても君が欲しい
他のヤツ君に触れればShit


Shitと嫉妬もかかっていてここは少し洒落として楽しめる。
しかしながら僕、にとって君は今まで会ったことのないくらい理想的な人で、それ故に他のやつに指一本触れさせたくないくらいのかなり重い執着を感じています。

 

不確かなままで築く愛の不安は
君を傷つけてしまったのかな?
本当は誰も知らない愛の答え
確かなものにしたくて2人口づけたね

 

不確かなままで築く、という所は多くの方が言っているように、中島健人さんが演じられていた「砂の器」の和賀と理恵子の愛人関係を想起させます。
楽曲単体で見ると彼女への異常なまでの執着から彼自身が二心を抱いている、「君」以上の人を見つけ君をないがしろにしていると考えづらい。また、これは中島さんの他の歌にも言えることですがアイドルとしての意図的なのか無意識なのか歌に出てくる愛する人の実体が見えない。湿度の感じられる表情や動作が非常に少ないんですよね。

 

君のせいさ(Love)
僕は(Sad)
悲しみも抱きしめなきゃダメさ
孤独すら抑えて
愛を信じて

 

悲しみに耐える気持ちはあるらしい。だんだんと痛ましさ、狂おしさが増してきます。

君のせいさ
僕は
憎しみをどこに捨てればいいんだ
ホントはずっと不安さ
早く愛をくれ

「ホントは」と語っているところに一見不安を抱えているようには見せていないことが伺える。

気むずかしい僕の相手なんて
よく引き受けたね君 girl friend
たまに面倒くさいときはごめん
完璧じゃない僕だって Bad man

実は、この歌の本質は上記の歌詞から顔を出し始めていると考えています。
なぜならあまりに中島健人さんご本人とファンの関係に見えてしまうから。

「たまに面倒くさいときはごめん」いつも完璧なアイドルをしながらも独特の言動で時折ファンおよび大衆をびっくりさせる中島さんそのもののようです。

すれ違いだなんて
言わないでよマジで
素直になれなくて
独り占めしたくてGirl

ひとり占めの漢字が一でなくて独になっているところは、ここまでに続き独占欲がとても高い。そしてすれ違いゆえに去っていった、ということは彼女は死んではいないようです。よかった。

君がいなくなったら
僕が僕じゃなくなる
強がってしまう時
いつも後悔してる
Because of 愛

君がいなくなったら僕が僕じゃなくなる…ここはご自身にそのまま投影するとかなりしんどいですが、恐らくその通りなのでしょう。「君」すなわち観客がいなくなったらアイドル中島健人は成立しなくなってしまう。強がって人前で振る舞いながらも後悔する…現実では「いつも」ではないでしょうが前述のように人を楽しませようと多くの独特ななふるまいをしながらも時に後悔し、それでも人前に立ち続けているとしたら…と考えると胸につまるものがあります。

そしてここからはサビのリフレインなのですが…最後に


ごめんね 僕は死ぬほど君を愛してるよ

と言い残す。舞台上では🍎を齧って去る。(かなり召し上がっているのに次の曲で頭から歌える所流石です

このごめんね、は何なのでしょう?
苦しめてごめんね、なのか?君は僕を愛してなくても僕は愛し続けるよごめんね?なのか???

個人的解釈では、全てではないかと思います。
非常に独特な世界観を表した一曲 Because of 愛ですが結局のところ中島健人という人間と彼の対峙する(=愛する)ファンとの関係を歌っているととれる曲。
つまり、君(ファン)が僕への愛を失くし離れていったとしても、僕は死ぬほど君を愛しているよ、という執念とも愛情ともとれる一曲なのではないかと。
ともすれば、冒頭のCANDYを持ち微笑む中島健人と本質は変わらないわけです。

ここで一からCANDYの話をするにはあまりに長くなってしまいますが…少しだけ。
発表時から衣装C&R歌詞全てにおいて大きな話題となったCANDYですが、直訳すると「君、僕のものにならない?」って曲なんですよね。

楽曲前半で、君、についてCANDYでは以下のように語ります。

かなわない 眩しすぎて

まだ僕のものじゃないから

 

CANDYの発表が中島さんの話題の人とするのに一役買ったように、楽曲発表時はまだ彼はアイドルとしてニューカマーと言える存在でした。だから、まだ僕のものじゃない多くの人、にCan You be my BABY?と声をかけて誘っていたのではないでしょうか。

また、

眩しすぎて=理想を越えた君(BO愛)
ととれます。今はSexy boys& girls!と叫び愛のダイバーシティを包含する中島さんですが、根底のジェントルマンイズム、女性に対してのキラキラとした尊重すべき存在と捉えている節がここでもうかがえます。この辺りの、自分を愛するものへの全肯定感が「君」の実体のなさをさらに強調しているとも言えるのですが。
しかし、中島さんの歌が相手が実体がありそうでないのは当たり前なのです。なぜならラブソングではなくてファンへの歌だから。いや、それこそがラブソングなんだとご本人には言われそうですね。

サビのワンフレーズ

Candy give it to me baby もっと欲しい


このCandyはまさにファンの愛、そして歓声なのでしょう。

CANDYでは、最後まで君、が僕のものになりません。
そんなまだ僕のものではなかった「君」 を愛して口づけしたけれど、僕のもとをはなれていってしまった人もいる。でもどこにいようと僕は死ぬほど「君」を愛しているよ。
と通じるからこそ、CANDYのティザー映像があってのBecause of 愛に繋がるのかもしれません。いずれもまだ僕のものではない君、を集めたり僕の元にいない君、への愛を歌うとき常に、ライブ会場という「僕のものになっている君」からのC&Rを貰うことで楽曲を成立させているところが、パラドキシカルでありながら非常にアイドルらしく思えます。

 

今回はBO愛を愛する人「君」への歌と解釈しましたが、Because of 愛を中島健人さんの白と黒の対立とするか、愛する人への抑えきれない思いととるか、など様々な考え方があると思います。しかし結局、中島健人さんにとっての愛する人=someone=everyoneなので、対立する自我もeveryoneに含まれるのかもしれません。

…ここまでくると平面構図で捉えきれなくなってしまいますね。

 

なんて、オタクの考察ですので答えは中島健人さんご本人しか分かりません。

アイドルの掌で転がされ考察を巡らせることもまた、オタクの醍醐味なのです。